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Vol.41 No.2線虫C. elegans における行動実験と筋肉細胞のカルシウムイメージング
土壌に生息する線虫は,環境中の様々な刺激を感知して行動を決定する。行動実験と同時に細胞の活動をカルシウムイメージング法で測定できるため,生き物が抗力を利用して行動を決定する神経メカニズムの解明が期待される。
Vol.41 No.1繊毛虫コルポーダの生活史
原生生物繊毛虫コルポーダは,生息に適した環境中では,増殖シストと呼ばれる細胞を形成して4分裂で増殖する。一方,環境ストレスを察知すると,代謝を含む細胞の活動を抑制させ,休眠シストを形成する。
Vol.40 No.3バフンウニ(Hemicentrotus pulcherrimus )のプルテウス幼生
受精後96時間のプルテウス幼生を,全ての神経を特異的に認識するモノクローナル抗体1E11にて染色した。脳領域や繊毛帯部分に神経細胞が多く存在している様子が確認できる。
Vol.40 No.2その電気は外から?それとも自分から?
エレファントノーズフィッシュは,モルミルス科弱電気魚の一種である。感覚情報を効率よく処理するためには,自分の出した電気パルスと他個体の出した電気パルスを区別する必要があるが,どのような脳内の神経メカニズムが自他の区別を担っているのだろうか?
Vol.40 No.1日本産トゲオオハリアリのワーカー間における個体間相互作用
日本産トゲオオハリアリでは,コロニー内のワーカー1個体が女王役(機能的女王)として繁殖を担い,残りのワーカーがその他の労働を担う。また,ワーカー間では一般に日齢依存な分業が見られ,巣内での労働(内役)から巣外での労働(外役)へと行動を切り替える。
Vol.39 No.3夜の世界を色鮮やかに見るカエルとヤモリ
多くの種が夜行性であるカエルやヤモリは,「暗がりで色を識別できる」という特殊な視覚能力を持つ。眼の中で光を感知する働きを持つタンパク質・視物質の分子解析を行うことで,特殊な視覚能力の成り立ちを分子レベルから明らかにした。
Vol.39 No.2繊毛虫ユープロテスを捕食しているオオタイヨウチュウ
オオタイヨウチュウは肉質虫類に属する原生生物の一種で,その名の通り大型のタイヨウチュウ(太陽虫)である。原生生物では珍しく多核の種であり,細胞当たり100個くらいの核を持つ。
Vol.39 No.1ナミニクバエの成虫と大阪の夜景
都市に生息する昆虫は,日没後の明るさによって季節の読み取りが乱されていることが考えられる。私たちは,ナミニクバエを対象とし,室内および野外での飼育実験を用いて都市の明るさが昆虫の季節適応にもたらす影響を検証した。
Vol.38 No.3ペプチドによるホヤ卵胞の成長,成熟,排卵機構
カタユウレイボヤに存在する神経ペプチドやペプチドホルモンとその受容体,ならびにシグナル伝達機構の解明によって,特定のペプチドがそれぞれの発達段階で卵胞の成長,成熟,および,排卵を制御する機構の基本スキームが明らかになった。
Vol.38 No.2鳥襲撃仮説
ゼブラフィッシュは雨が降るとアオカワセミの襲撃が少なくなることを知っていて,グリシン受容体タンパク質の動態を変化させることで,天候の変化に即応する環境適応をしているのだろう。
Vol.38 No.1日本比較生理生化学会山形大会の会場
コロナ禍の中,第42回日本比較生理生化学会は対面形式で山形大学小白川キャンパスにて実施された。
Vol.37 No.3オオクロコガネの概「倍」日リズムとその形成機構
オオクロコガネの活動は恒暗条件において約48時間周期で自由継続する概倍日リズムを示す。
Vol.37 No.2ゼブラフィッシュの逃避運動を駆動するマウスナー細胞
刺激を受けて左右いずれかのマウスナー細胞が活動電位を発生すると,反対側の胴筋を支配する運動ニューロンが一斉に興奮し,胴が一方向に屈曲して逃避運動が始まる。
Vol.37 No.1運動中にダイナミックに変化する神経情報処理
動物の運動と脳の情報処理は相互作用する。ハエでは,視覚野の神経細胞は視覚信号と運動信号を統合し,より安定的に自己運動を表現している。
Vol.36 No.3プラナリアの自発振動からひも解く行動の適応戦略
プラナリアはどのようにして光を避けたり,石や落ち葉の下に隠れたりするのだろうか? そのヒントは,不規則に頭部を左右に振る自発振動にあった。光源から逃げるためには,自発振動が必要だったのだ。
Vol.36 No.2コウモリの先読みナビゲーション
コウモリが複数の標的に対して超音波ソナーと飛行の注意を分散させ,次の獲物を先読みしていることが明らかとなった。コウモリはこの“先読みナビゲーション”によって,多くの獲物を効率よく次々と捕らえていたのだと言えるだろう。
Vol.36 No.1触角葉糸球体における匂い価値の表現
キイロショウジョウバエの触角葉糸球体では匂い応答パターンが3つのクラスターに分けられ、誘引や忌避などの匂い価値の情報と関連する地理的にクラスター化した糸球体グループが存在する可能性が示唆された。
Vol.35 No.3報酬と結びついた図形を探索する課題遂行時のアカゲザル大脳基底核の活動
コンピュータによって生成したフラクタル図形を提示すると,アカゲザル大脳基底核の尾状核ニューロンは報酬と結びついた図形には強い反応を示すが,報酬と結びつかない図形にはほとんど反応しない。
Vol.35 No.2エビガラスズメ胸部外骨格の高速表面形状計測
羽ばたき運動中の外骨格の変形を明らかにするため,羽ばたくエビガラスズメの胸部背面を高速二次元レーザー変位計で走査し,三次元形状の再構築を行った。
Vol.35 No.1クサフグの半月周性集団産卵回遊
クサフグの集団産卵では,半月周性,潮汐性,日周性のリズムがその環境条件に合わせて複合的に組み合わさり,また体内時計と環境要因,生殖神経内分泌系が協調しあって,“絶妙のタイミング”で産卵回遊行動が起こることがわかってきた。
Vol.34 No.4繊毛虫コルポーダの休眠シスト
土壌性繊毛虫のコルポーダは,増殖に適した水環境中では,繊毛を使って遊泳する増殖型細胞であるが,水たまりの消失といったような生存に不適な環境が近づくと,乾燥,紫外線,凍結,高温,酸などに対して耐性を有する休眠シストになる。
Vol.34 No.3ショウジョウバエ概日行動リズムを制御する神経ネットワーク
キイロショウジョウバエの行動リズムを制御する中枢機構は脳にあることが明らかになっており,成虫の脳内で約150個の神経細胞(時計細胞)がその役割を担っている。
Vol.34 No.2ハエも考えて食べる
何を,いつ,どのくらい食べるのか。そのような意思決定のプロセスを介した摂食行動を昆虫も行っており,ショウジョウバエは,体内のアミノ酸レベルを感知し,アミノ酸に対して特異的に摂食を制御すると考えられている。
Vol.34 No.1カタユウレイボヤ幼生の遊泳運動
ホヤ幼生の遊泳運動を支える力学的素因は,より複雑な体を持つ魚類が示す遊泳運動のものと同等である。近年,このホヤ幼生の研究がきっかけとなり,真骨魚の速筋と遅筋の神経筋シナプス機構の意外な相違,またホヤ幼生と真骨魚の遅筋との間の意外な類似が明らかになった。
Vol.33 No.4コロニーの外を警戒するオオシロアリの兵隊
オオシロアリは体サイズが大きく飼育が容易であるため,兵隊分化をもたらす生理機構や,兵隊で見られる高い攻撃性や防衛行動の神経基盤を探る材料としてよく用いられている。
Vol.33 No.3共生クロレラを持つ生物たち
淡水環境に生息している原生動物・後生動物の仲間には,単細胞緑藻類の共生クロレラを細胞内共生させているものが多く知られている。
Vol.33 No.2ムラサキシジミに随伴するアミメアリ
チョウが幼虫期に糖とアミノ酸に富んだ「蜜」を栄養報酬としてアリに与えるのは,「気まぐれな」アリの裏切りを効果的に防ぐメカニズムとして進化してきたのではないかと考えられます。
Vol.33 No.1ムツゴロウの正面写真
ムツゴロウはスズキ目ハゼ科の魚類で、体表には青い斑、眼は上部に突き出し、瞳孔はハート型、口元には間隔の広い歯が上下に並んでいる。
Vol.32 No.4昆虫の偏光コンパスの神経機構
昆虫の偏光コンパスの神経機構を調べた研究から、脳内の中心複合体がナビゲーション中の自分の進行方向をモニターする体内コンパスの役割をしているのでないかと考えられる。
Vol.32 No.3ショウジョウバエを用いたアルツハイマー病における睡眠剥奪の影響
睡眠不足によるアミロイドβ蛋白質の蓄積量の増加は,睡眠不足によってもたらされる神経細胞の「過剰興奮」が原因であることを,アルツハイマー病モデルのショウジョウバエを用いて明らかにした。
Vol.32 No.2線虫 C. elegans の低温適応の分子機構
線虫 C. elegans には,既に知られている高温に対する耐性機構である「耐性幼虫」のほかに,低温に対する耐性機構「低温適応」が存在する。
Vol.32 No.1松果体波長識別機構の分子基盤に関する分子生理学的解析と進化学的考察
ヤツメウナギなどの下等脊椎動物の松果体では,紫外光と可視光の比率(いわゆる“色”)を識別することが知られており,その紫外光受容の分子基盤としてパラピノプシンと呼ばれる光受容タンパク質が同定された。
Vol.31 No.4チャバネゴキブリにおけるグルコース忌避の味覚受容メカニズム
毒餌の急激な淘汰圧を受けた地域では,毒餌を食べない個体群が発達します。急激な環境変化に伴って生物個体群が適応的食物選択行動を新しく示す時,味受容細胞の感受性の遺伝多型が重要な役割を果たすことが明らかとなりました。
Vol.31 No.3メダカを用いた分子遺伝学的手法による魚類「社会脳」の分子神経基盤の解明
オスとメスを透明なガラスで仕切ってお見合いさせておくと,メスの脳では終神経GnRH3ニューロンとよばれる大型神経細胞の電気的活動が活性化し,「見ていたオス」の求愛を受け入れるモードになる。
Vol.31 No.2脊椎動物の環境適応とバソプレシン/バソトシン
バソプレシン/バソトシンは,四肢動物では“抗利尿ホルモン”とも呼ばれて体内水分の維持に働くが,水中生活を営む魚類では水の保持ではなく,塩類の保持に作用している。
Vol.31 No.1代謝スケーリングから明らかとなった食う―食われるの関係
小卵多産の生活史戦略ではどのような個体が生き残るのだろうか? その答えの1つが,成長に伴うエネルギー代謝速度と体サイズの関係から今回,明らかとなった。
Vol.30 No.4神経細胞間におけるH+負帰還に基づく抑制性シナプス
神経細胞間におけるH+負帰還に基づく抑制性シナプスの模式図とシナプス間隙の酸性化をもたらす回転モーター分子としてのV-ATPase(H+ ポンプ)の分子構造を示す。
Vol.30 No.3昆虫外骨格で観察されるメラニン合成
昆虫における脱皮後の外骨格着色や傷害時の着色で,2つのメラニン合成経路がある意義について,昆虫進化の歴史,及び他の節足動物との関係性なども交えつつ,急速に理解が深まりつつある。
Vol.30 No.2ゼブラフィッシュの初期胚におけるJNKシグナル伝達経路
原腸形成期の細胞運動の解析やシグナル伝達系の解析に適しているゼブラフィッシュを用いて初期形態形成におけるJNKシグナル経路の詳細な解析を試みた。
Vol.30 No.1頭足類の眼の多様性
原腸形成期の細胞運動の解析やシグナル伝達系の解析に適しているゼブラフィッシュを用いて初期形態形成におけるJNKシグナル経路の詳細な解析を試みた。
Vol.29 No.4覚醒マウス体性感覚野における脳血流二次元画像
局所脳血流量はニューロン活動から数百ミリ秒で増加を開始し,活動終了後は数十秒で安静時のレベルまで減少する。著者らが開発した脳血流測定慢性実験系では,このようなダイナミックな脳血流動態を二次元動画として得ることができる。
Vol.29 No.3線虫 C. elegans の温度応答行動の分子神経回路
線虫C.elegansは,しばしば,生命現象の研究に適した「究極のモデル実験動物」と称される。分子遺伝学的解析から,温度受容情報伝達に関わる分子経路の大枠も,しだいに明らかになってきた。
Vol.29 No.2さえずり学習中の小鳥はわざと下手なさえずりを歌う
今回筆者らは,鳴禽の幼鳥が「本当はより上手なさえずりを歌えるのにもかかわらず何故か下手なさえずりを歌っている」ということを明らかにした。
Vol.29 No.1Aplysia californica のインク – オパリン放出
アメフラシの一種Aplysia californicaは,捕食者に襲われた時に複数の防御物質を含んだ紫色の液体を放出して身を守る。
Vol.28 No.4カイコガ神経データベースとその活用
「生物脳の全脳シミュレーションにむけて-カイコガ嗅覚・運動系シミュレーション-」では,カイコガにおける脳画像,神経細胞内染色画像および神経活動応答データを統合的に管理,共有するデータベースに基づき,カイコガ標準脳地図を構築している。
Vol.28 No.3チャコウラナメクジ(Limax valentianus)
チャコウラナメクジは,農地や家庭菜園で非常に頻繁に見られるナメクジであるが,戦後進駐軍とともに日本に侵入し,急速に広まったと考えられている。
Vol.28 No.2ショウジョウバエメスの性行動の神経支配
キイロショウジョウバエを利用した性行動の研究は近年急速に発展し,その分子生理機構が明らかにされつつある。
Vol.28 No.1セイヨウミツバチの分蜂蜂球と女王
巣から飛び出した働き蜂と母女王は,まず母コロニー近くに分蜂蜂球を形成し,新しい巣を建築するのに適した場所の情報を集める。
Vol.27 No.3,4エンドウヒゲナガアブラムシの翅多型
アブラムシは同一の遺伝型から、翅多型などのさまざまな表現型を作り出す。
Vol.27 No.2糸状菌感染による病死虫
社会性昆虫イエシロアリは、単独飼育で昆虫病原性糸状菌(カビ)に対して強い感受性を示す。
Vol.27 No.1セイヨウミツバチのカースト分化と産卵個体化
セイヨウミツバチのメスは幼虫期に摂食する餌の種類によって,女王とワーカーに分化する。
Vol.26 No.4ヨーロッパモノアラガイの味覚嫌悪学習
ヨーロッパモノアラガイの味覚嫌悪学習について、セロトニン分泌細胞Cerebral Giant Cellに着目した分子レベルの解析を進めている。
Vol.26 No.3カタユウレイボヤの幼生と成体
カタユウレイボヤは,脊椎動物と同じ脊索動物門に属し,成体の姿形から想像し難いが,その幼生はオタマジャクシ型形態を示す。
Vol.26 No.2遺伝的肥満マウスob/obと培養脂肪細胞3T3-L1
培養脂肪細胞3T3-L1へのの投与で脂肪細胞分化と脂肪蓄積を抑制するレスベラトロールを遺伝的肥満マウスob/obに投与すると,どうなるのであろうか?
Vol.26 No.1成長に伴うニワトリの羽装変化と羽色遺伝子座
ニワトリの羽装の基礎となる羽の色は,主に,メラノサイトが合成する2種類のメラニン色素による。このメラニン合成に関わる因子が羽色遺伝子座の解析から明らかになってきた。
Vol.25 No.4タンパク質発現軌跡地図 (Proteomic Trajectory Mapping)
タンパク質の発現量の時間変化を定量する方法を開発して、マウス網膜の成熟過程をタンパク質発現軌跡地図として記載した。
Vol.25 No.3構造色を持つ蝶の鱗粉
構造色とは波長サイズの微細構造が光の干渉や回折などの物理現象を通じて生ずる色で、蝶の翅は構造色の代表例の一つである。
Vol.25 No.2ベニツチカメムシの採餌ナビゲーション
ベニツチカメムシは多様な空間情報を処理・記憶することで採餌ナビゲーションを成し遂げている。
Vol.25 No.2ナメクジウオのメラノプシン
メラノプシンの解析から,無脊椎動物の感桿型視細胞と脊椎動物の光感受性網膜神経節細胞とが同起源であるという説が支持された。
Vol.25 No.1イソアワモチの多重光受容系
イソアワモチは多種類で多数の光受容器からなる特異な多重光受容系を持つ。
Vol.24 No.4Delta Viewerによるヤツメウナギ松果体の立体構築
Delta Viewerを用いて連続切片像20枚から立体構築したヤツメウナギ松果体
Vol.24 No.3ミツバチのジョンストン器官の中枢投射
ミツバチのダンスの言語解読機構解明のための第一歩としてジョンストン器官の一次感覚中枢の構造を解析した。
Vol.24 No.2フタホシコオロギの精包
フタホシコオロギの精包は,卵形体(下半分) 付着板(上半分)および精子管(もっとも上部の湾曲した糸のようなもの)からなっている。
Vol.24 No.1軟体動物裸鰓類トリトニア
軟体動物裸鰓類トリトニアの中枢神経系から記録された逃避活動パタン

 

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