- 2020/2/18
Summary
本学会の活動主旨にご賛同頂き、賛助会員として本学会の発展にご協力賜りますよう衷心よりお願い申し上げます
謹啓
貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます.
日本比較生理生化学会は1979年に設立された日本動物生理学会を前身とし,第3回国際比較生理生化学会議を主催した前年,1990年に日本比較生理生化学会と改称し,現在に至っております.その間,動物生理生化学の分野を中心に活動を進め,近年の生命科学の発展に伴い,研究領域の拡大に応じてより広い分野にまたがる会員を迎え,学会活動の発展を期して参りました.
私ども日本比較生理生化学会の最大の特色は,“地球上で人間と共存する多様な動物種に等しく精緻な科学的まなざしを注ぎ,それぞれの種で多様に進化してきた特性と種間で普遍的に保存されている性質を大切に、生物の適応現象を多角的な手法と視点から解き明かすこと”にあります.遺伝子や蛋白質など分子のレベルから細胞内シグナル伝達や,神経・内分泌シグナルを介して協調的に働く細胞ないし個体レベルにわたる様々な適応的反応機構,さらには,脳神経系の作用機序に基づく最終出力としての個体行動の理解,また個体行動が個体間や社会,環境へと影響を及ぼす原理を探りつつ,“比較”の視点から生物の多様性と普遍性の謎に日々挑戦しています.
比較生理生化学は基礎生物学の柱であるだけではなく,医学,薬学,農学,工学とも強い繋がりがあります.本会の会員である研究者の専門分野は,分子,細胞の研究から,個体や社会の研究、生物の構造と機能を規範とした素材やロボットの設計・製作研究まで多様性に富み,多くの研究成果は,害虫防御,工業センサーや制御機器の開発,人工知能の分野にも多大な寄与をもたらし,臨床医学や自然環境保護への貢献度を増しつつあります.また,本学会が旨とする“多様な動物種を用いて,生物の適応現象を多角的な手法と視点から解き明かす研究”は,環境問題,生物多様性の維持,人と自然の共存など人類が抱える重要課題に直結し,国際的にもますます重要性を増しています. 本学会は1991年に第3回国際比較生理生化学会議を東京で,2011年には第8回国際比較生理生化学会議を名古屋で開催し,その4年後の2015年ポーランドのクラクフで開催された第9回国際比較生理生化学会議にも積極的に参画するなど国際的な位置を確立し,若手研究者の育成も踏まえて国際交流の拡大を図ってきました.毎年全国の研究機関で開催する全国大会も2019年大会を終えて通算41回を数えています.
このように,本学会の活動は,単に会員研究者間の交流促進に終始するだけではなく,現代アカデミズムを体現する大学や研究所と産業界民間企業の絆を強め,地域発展へ果たす役割も年々大きくなっています.さらに私達は,多様な生物の生きる仕組みを扱う本学会の性格上,小中高校の理科教育に関わる可能性も無限であると考え,小中高校生の科学的興味を引き出し深める理科教室や小中高校の教員を対象とした教育・研究指導にも努め,関連する出版書籍を通し初等中等教育への貢献にも力を注いでおります.
一方で,学会の活動や周辺情報や役に立つサイトをリアルタイムで伝えるホームページと共に,学会誌「比較生理生化学」の発刊も,本学会の活動の大切な部分を占めています.本学会ではこの学会誌の内容充実のための編集委員会を重視し,広く全国の会員の活動と直結した情報交換を柱とする周到な編集体制を積極的に活用することにより,毎号,研究総説をはじめ関連分野の最新の情報を専門家が分かりやすく解説する記事などを多彩に掲載し,購読者の皆様から好評を博しています..
貴社におかれましては,本学会の活動の趣旨にご賛同頂きました上で賛助会員としてご入会いただき、本学会の発展にご協力賜りますよう衷心よりお願い申し上げます.
敬具
日本比較生理生化学会 第11期 会長
神戸大学大学院 教授 尾崎 まみこ
同 第12期 会長
東京大学大学院 教授 深田 吉孝