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昆虫用VRの概要図

  • 2024/12/10

Summary

カイコガ雄成虫は雌の性フェロモンに応答し,定位行動を発現する。定位性能向上に効いている要素を解析するため,仮想現実(Virtual reality)の枠組みを昆虫の行動実験に導入し,感覚刺激と行動出力の連関関係を精緻に計測できるようにした。

生物は複数の感覚器を通して環境情報を獲得し,その情報に基づいて適切な行動へと変換することで所望のタスクを達成する。昆虫であるカイコガ雄成虫(Bombyx mori)は同種メスから放出される性フェロモンに応答し,定位行動を発現する。定位行動中に視覚や風刺激といった他のモダリティを活用していることが考えられるが,定位性能向上に最も効いているモダリティは何であろうか?このことを解析するためには高解像度に感覚刺激を制御しつつ,行動を計測することが不可欠である。これを解決するために,仮想現実(Virtual reality)の枠組みを昆虫の行動実験に導入することで,感覚刺激と行動出力の連関関係を精緻に計測できるようにした。この昆虫用VRによって定位性能を向上させている要素を解析するとともに,その機能貢献を構成論的手法によって明らかにした。(本誌総説参照)

昆虫用VRの概要図

国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系助教 志垣 俊介

 

(出典: 学会誌「比較生理生化学」Vol.41 No.3 表紙より)

 

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