- 2024/04/12
Summary
多くの種が夜行性であるカエルやヤモリは,「暗がりで色を識別できる」という特殊な視覚能力を持つ。眼の中で光を感知する働きを持つタンパク質・視物質の分子解析を行うことで,特殊な視覚能力の成り立ちを分子レベルから明らかにした。
多くの脊椎動物は,明るい所では色を識別できるものの,暗がりでは色を識別できない。一方で,多くの種が夜行性であるカエルやヤモリは,「暗がりで色を識別できる」という特殊な視覚能力を持つことが古くより知られていた。私たちは,眼の中で光を感知する働きを持つタンパク質・視物質の分子解析を行うことで,特殊な視覚能力の成り立ちを分子レベルから明らかにすることができた(本号総説参照)。夜間はモノクロにしか見られない私たちとは違って,写真中のニホンアマガエル(左)(撮影:西川完途)やニホンヤモリ(右)(撮影:山下高廣)は,夜の世界を色鮮やかに見ているのだろう。
岡山大学 学術研究院医歯薬学域(薬学系) 小島 慧一
(出典: 学会誌「比較生理生化学」Vol.39 No.3 表紙より)